肘の内側がズキズキと痛んだり、しびれを感じたりして、日常生活や趣味のスポーツに支障が出ていませんか?その痛みは、単なる疲れだと軽視されがちですが、実は様々な原因が隠れている可能性があります。この記事では、肘の内側の痛みがなぜ起こるのか、その主な原因から、野球肘やゴルフ肘といったスポーツによるもの、日常生活で起こる痛みまで詳しく解説いたします。また、上腕骨内側上顆炎や内側側副靭帯損傷といった代表的な疾患についても触れ、ご自身でできる症状のチェックポイント、効果的なセルフケアや対処法、そして専門家と相談して進める具体的な解消法、さらに再発を防ぐための予防策まで、網羅的にご紹介します。痛みを放置せず、原因を正しく理解し、適切な対策を講じることで、肘の痛みから解放され、快適な毎日を取り戻すための一歩を踏み出しましょう。
1. 肘の内側が痛い その痛みはなぜ起こる
肘の内側に痛みを感じることは、日常生活やスポーツ活動において非常によくあることです。この痛みは、様々な原因が複雑に絡み合って発生することが多く、単なる筋肉痛とは異なる場合があります。
肘は、腕を曲げ伸ばしするだけでなく、手首や指の動きにも深く関わる重要な関節です。そのため、繰り返し行われる動作や、不適切な体の使い方によって、内側の組織に負担がかかり、痛みとして現れることがあります。
1.1 肘の内側の痛みの主な原因
肘の内側の痛みは、その原因が多岐にわたります。最も一般的なのは、筋肉や腱への過度な負担が繰り返されることで、炎症を引き起こすことです。これは、特定の動作を長時間続けたり、急に運動量を増やしたりした際に起こりやすいです。
また、肘の関節を安定させる靭帯に微細な損傷が生じることや、肘の周りを通る神経が圧迫されることによっても、痛みやしびれを感じることがあります。これらの原因は単独で発生することもあれば、複数組み合わさって痛みを引き起こすこともあります。
1.2 スポーツによる肘の痛み
特定のスポーツ動作は、肘に繰り返し大きな負荷をかけるため、痛みの原因となりやすいです。特に、腕を振る動作や物を投げる動作を伴うスポーツでは、肘の内側に集中的なストレスがかかることがあります。
1.2.1 野球肘とはどんな症状か
野球肘は、投球動作を繰り返すことで、肘の内側に負担がかかり発生する痛みの総称です。特に成長期のお子様に多く見られますが、成人の方でもフォームの問題や練習量の増加によって発症することがあります。
ボールを投げる際に肘の内側が痛む、投球後に鈍い痛みがある、肘の曲げ伸ばしがしにくいなどの症状が特徴です。投球時の加速期に肘の内側が引き伸ばされるようなストレスがかかることで、炎症や組織の損傷につながることがあります。
1.2.2 ゴルフ肘とはどんな症状か
ゴルフ肘は、ゴルフスイング、特にダウンスイングからインパクトにかけての動作で肘の内側に強いストレスがかかることで生じます。手首を曲げたり、指を握ったりする筋肉の使いすぎが主な原因となります。
ゴルフスイング時に痛みを感じるだけでなく、日常生活で物をつかんだり、ドアノブを回したりする際にも痛みが現れることがあります。手首を内側に曲げる動作や、手のひらを下に向けて重いものを持つ際に痛みが強くなる傾向があります。
野球肘とゴルフ肘は、同じ肘の内側の痛みでも、その発生メカニズムや痛みの出方に違いがあります。
| 項目 | 野球肘(投球による肘の痛み) | ゴルフ肘(ゴルフスイングによる肘の痛み) |
|---|---|---|
| 主な原因動作 | 投球動作 | ゴルフスイング(特にダウンスイングからインパクト) |
| 痛みの主な部位 | 肘の内側、骨や靭帯、成長軟骨部 | 肘の内側、前腕屈筋群の付着部 |
| 特徴的な症状 | 投球時や投球後の痛み、肘の曲げ伸ばしでの違和感 | スイング時、物をつかむ、手首を曲げる動作での痛み |
1.3 日常生活で起こる肘の内側の痛み
スポーツをしていない方でも、日常生活の中での繰り返し動作が原因で肘の内側に痛みを感じることがあります。これは、特定の筋肉や腱に慢性的な負担がかかることで発生します。
例えば、重いものを持つ動作、パソコンのキーボード操作やマウスの長時間使用、調理や掃除などの家事、育児での抱っこなどが挙げられます。これらの動作は、知らず知らずのうちに肘や手首、指の筋肉に負担をかけ、炎症や痛みを引き起こすことがあります。特に、不適切な姿勢や無理な力の入れ方が続くと、痛みが慢性化しやすくなります。
2. 肘の内側の痛みを引き起こす代表的な疾患
2.1 上腕骨内側上顆炎
肘の内側の痛みの代表的なものに、上腕骨内側上顆炎があります。これは、肘の内側にある骨の突起部分、上腕骨内側上顆に付着する筋肉や腱に炎症が起こる状態です。特に、手首を手のひら側に曲げる動作や、指を握る動作を繰り返し行うことで、これらの筋肉や腱に過度な負担がかかり発症します。
一般的に「ゴルフ肘」とも呼ばれますが、ゴルフだけでなく、テニス(特にフォアハンド)、野球の投球動作、ボウリング、重いものを持つ作業、パソコン作業など、手首や指を酷使するさまざまな活動が原因となります。痛みは、肘の内側を押すと感じやすく、物を持つ、ドアノブを回す、タオルを絞るなどの動作で強くなることが多いです。
2.2 内側側副靭帯損傷
肘の内側には、関節の安定性を保つための重要な靭帯である内側側副靭帯があります。この靭帯が損傷すると、肘の内側に痛みが生じます。特に、野球の投球動作やテニスのサーブなど、肘に強い外反ストレス(肘が外側に開くような力)が繰り返し加わるスポーツで発生しやすいです。
損傷の程度によって症状は異なりますが、軽度であれば投球時や特定の動作時のみの痛みで済みます。しかし、重度になると肘の不安定感や、完全に伸ばせない、曲げられないといった可動域制限、さらには肘のロッキング(引っかかり)を感じることもあります。急激な痛みとともに、肘の内側に腫れや内出血が見られることもあります。
2.3 尺骨神経障害
肘の内側には、小指と薬指の感覚や手の筋肉の動きを司る尺骨神経が通っています。この神経が肘の近くで圧迫されたり、繰り返し引っ張られたりすることで、尺骨神経障害が起こり、肘の内側に痛みを伴うことがあります。特に、肘の内側にある「肘部管」と呼ばれる狭いトンネルで圧迫されやすいです。
主な症状は、肘の内側の痛みだけでなく、小指と薬指にしびれや感覚の鈍さが現れることです。さらに進行すると、手の筋肉がやせ細ったり、細かい作業がしにくくなったりすることもあります。肘を長時間曲げた状態での作業や、肘を机に強くつく習慣などが原因となることがあります。
2.4 その他の原因と関連する疾患
肘の内側の痛みは、上記で挙げた疾患以外にも、さまざまな原因で引き起こされることがあります。例えば、成長期の子供に見られる離断性骨軟骨炎や、関節の変形による変形性肘関節症、まれに神経や血管の異常が原因となることもあります。また、急な外傷による骨折や打撲も痛みの原因となります。
これらの疾患は、それぞれ特徴的な症状や発生メカニズムを持っています。痛みが続く場合や、しびれ、可動域制限などの他の症状を伴う場合は、自己判断せずに専門家にご相談いただくことが大切です。
3. 肘の内側が痛い時の症状とチェックポイント
肘の内側に痛みを感じたとき、その痛みはどのような種類で、どのような時に現れるのでしょうか。ご自身の症状を客観的に把握することは、適切な対処を見つけるための第一歩となります。ここでは、痛みの種類や強さ、痛む動作とタイミング、そしてご自身で簡単にできるチェック方法について詳しく解説いたします。
3.1 痛みの種類と強さ
肘の内側の痛みは、人によって感じ方が大きく異なります。ご自身の痛みがどのような種類に当てはまるかを確認してみましょう。
- 鋭い痛み:特定の動作をした瞬間に「ピリッ」としたり「ズキン」としたりする、比較的強い痛みです。靭帯の損傷や神経の圧迫など、急性の炎症が関わっている可能性があります。
- 鈍い痛み:常に重だるいような痛みや、じわじわと続く不快感です。慢性的な炎症や筋肉の疲労が原因となることがあります。
- しびれを伴う痛み:痛みだけでなく、指先や腕に「ジンジン」としたしびれを感じる場合です。神経が圧迫されている可能性が高く、特に注意が必要です。
- 違和感:はっきりとした痛みではないものの、肘の内側に何か異常があるような、もやもやとした感覚です。初期の症状や、疲労が蓄積しているサインかもしれません。
痛みの強さも重要なチェックポイントです。安静にしていても痛むのか、特定の動作でだけ痛むのか、日常生活に支障が出るレベルなのかなど、ご自身の痛みの度合いを把握してください。
3.2 痛む動作とタイミング
どのような動作で痛みが生じるのか、また、どのようなタイミングで痛むのかを観察することで、痛みの原因を絞り込むヒントになります。
- 物を持ち上げる動作:特に手のひらを上にして物を持つときや、重いものを持ち上げるときに肘の内側が痛むことがあります。
- 手首を手のひら側に曲げる動作:手首を強く曲げたり、指で物を握りしめたりする際に痛みを感じることがあります。
- ドアノブを回す、タオルを絞る動作:これらの日常的な動作で痛みが出る場合、腱や筋肉に負担がかかっている可能性があります。
- スポーツ動作:野球の投球動作やゴルフのスイング、テニスのフォアハンドなど、腕を強く使うスポーツで痛む場合は、その動作が原因となっていることが多いです。
- 安静時や夜間:活動時だけでなく、安静にしているときや寝ているときにズキズキと痛む場合は、炎症が強く出ている可能性があります。
痛む動作やタイミングを具体的にメモしておくと、専門家に相談する際に役立ちます。
3.3 自分でできる簡易チェック
ご自身の肘の状態を把握するために、自宅で簡単にできるチェック方法をいくつかご紹介します。
| チェック項目 | やり方 | 痛む場合の原因の可能性 |
|---|---|---|
| 肘の内側を押したときの痛み | 肘の内側にある骨の突起(内側上顆)を指で押してみてください。 | 押した部分に痛みがある場合、炎症が起きている可能性があります。 |
| 手首を手のひら側に曲げる | 肘を伸ばした状態で、もう一方の手で痛む側の手首を持ち、手のひら側にゆっくりと曲げてみてください。 | 肘の内側に痛みが誘発される場合、腱の炎症が考えられます。 |
| 指を伸ばす動作 | テーブルに手のひらを下にして置き、指を一本ずつゆっくりと持ち上げてみてください。 | 指を伸ばす際に肘の内側に痛みを感じる場合、指を動かす筋肉に負担がかかっているかもしれません。 |
| 握力チェック | 物を握る動作で痛みが出るか確認してください。普段使っているもの(コップやペンなど)を握ってみるだけでも構いません。 | 握る動作で痛みや違和感がある場合、握力を出す筋肉や腱に問題がある可能性があります。 |
これらの簡易チェックはあくまで目安です。もし痛みやしびれが強い場合や、日常生活に支障をきたす場合は、無理をせず専門家に相談することをおすすめします。
4. 肘の内側が痛い時のセルフケアと対処法
肘の内側に痛みを感じたとき、まずはご自身でできるセルフケアや対処法を試してみることが大切です。適切なケアを行うことで、痛みの緩和や悪化の予防につながります。
4.1 安静とアイシング
肘の内側に痛みを感じ始めたら、まずは無理をせず安静にすることが最も重要です。痛む動作を避け、肘への負担を最小限に抑えるように心がけてください。
患部に炎症が起きている場合が多いため、アイシング(冷却)で冷やすことが効果的です。アイシングには、炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。
- ビニール袋に氷と少量の水を入れ、タオルで包んで患部に当てます。
- 15分から20分程度を目安に冷やし、これを数時間おきに繰り返してください。
- 冷やしすぎは凍傷の原因となるため、必ずタオルなどで包み、皮膚に直接当てないように注意しましょう。
- 特に痛みが強い急性期には、この安静とアイシングを徹底することが大切です。
4.2 効果的なストレッチとマッサージ
痛みが少し落ち着いてきたら、次に肘周辺の筋肉の柔軟性を高めるストレッチやマッサージを取り入れてみてください。前腕の筋肉の緊張を和らげ、血行を促進することで回復を助けます。
4.2.1 前腕のストレッチ
前腕の筋肉、特に肘の内側につながる屈筋群をゆっくりと伸ばすことが重要です。痛みを感じる場合はすぐに中止し、無理に伸ばさないようにしてください。
- 手首の屈筋ストレッチ
腕を前に伸ばし、手のひらを下に向けてください。もう一方の手で、伸ばした手の指先を下向きに掴み、ゆっくりと体の方へ引き寄せます。前腕の内側に伸びを感じたら、15秒から20秒程度キープします。 - 手首の伸筋ストレッチ
腕を前に伸ばし、手の甲を下に向けます。もう一方の手で、伸ばした手の指先を下向きに掴み、ゆっくりと体の方へ引き寄せます。前腕の外側に伸びを感じたら、15秒から20秒程度キープします。
これらのストレッチを、左右の腕でそれぞれ数回ずつ、無理のない範囲で行いましょう。
4.2.2 前腕のマッサージ
肘の内側から手首にかけての前腕部分を、指の腹で優しく揉みほぐします。特に硬くなっていると感じる部分があれば、そこを重点的に、心地よいと感じる程度の強さで行ってください。強く押しすぎるとかえって痛みを悪化させる可能性があるので注意が必要です。
4.3 サポーターやテーピングの活用
日常生活や軽い活動時に、肘への負担を軽減するためにサポーターやテーピングを活用することも有効です。
- サポーター
肘の内側に圧迫を加え、筋肉の動きをサポートするタイプや、特定の動作を制限するタイプなどがあります。ご自身の症状や活動内容に合ったものを選び、正しく装着することが重要です。装着することで、痛む動作での負荷を軽減し、肘の安定性を高める効果が期待できます。 - テーピング
特定の筋肉や靭帯をサポートし、過度な動きを制限することで、痛みの軽減や再発予防に役立ちます。専門家のアドバイスを受けながら、適切な巻き方を習得することをお勧めします。長時間装着しすぎると、血行不良や皮膚トラブルの原因となる場合があるので注意してください。
4.4 日常生活での注意点
痛みを悪化させないためには、日々の生活習慣を見直すことが非常に重要です。肘に負担をかける動作や姿勢を改善し、予防に努めましょう。
- 動作の見直し
重い物を持ち上げる際の手のひらの向きや、肘の使い方に注意し、できるだけ肘に負担がかからないように工夫しましょう。例えば、手のひらを上に向けて物を持つことで、肘の内側への負担を減らせる場合があります。 - こまめな休憩
パソコン作業や家事、スポーツなど、肘を酷使するような作業を行う際は、こまめに休憩を取り、肘を休ませる時間を作ってください。連続して同じ動作を続けることを避け、適度にストレッチを取り入れることも効果的です。 - 姿勢の改善
正しい姿勢を保つことも、肘への負担を減らす上で大切です。特に、長時間のデスクワークでは、猫背など不適切な姿勢が肘だけでなく体全体に負担をかけやすいため、座り方や作業環境を見直すことを意識しましょう。 - 冷え対策
肘周辺の筋肉が冷えると、血行が悪くなり痛みを増悪させることがあります。寒い時期には、長袖を着るなどして肘を冷やさないように心がけてください。
5. 肘の内側の痛みを専門家と解消する治療法
肘の内側の痛みがセルフケアだけではなかなか改善しない、あるいは痛みが強くて日常生活に支障が出ている場合は、専門家の力を借りることが大切です。適切な診断と治療を受けることで、痛みの根本原因にアプローチし、より早く確実な回復を目指すことができます。
5.1 整形外科での診察と診断
ご自身の肘の痛みがセルフケアで改善しない場合や、原因がはっきりしない場合は、身体の動きや関節、筋肉の専門家がいる施設で診察を受けることが大切です。専門家は、まず問診を通じて痛みの状況や発生経緯を詳しく伺い、触診で痛む部位や動きを確認します。必要に応じて、より詳細な状態を把握するために、専門的な検査を行うこともあります。これにより、痛みの原因を正確に特定し、適切な治療方針を立てることができます。
5.2 保存療法とは
保存療法とは、手術を行わずに症状の改善を目指す治療法の総称です。肘の内側の痛みに対する治療の多くは、この保存療法から開始されます。痛みの原因や症状の程度に応じて、様々な方法が組み合わされて行われます。
5.2.1 薬物療法
痛みが強い場合や炎症が起きている場合には、薬物療法が用いられることがあります。これは、炎症を抑えたり、痛みを和らげたりすることを目的とした治療法です。内服薬や患部に直接塗る外用薬など、症状に合わせて適切なものが選ばれます。薬は一時的に症状を抑えるだけでなく、リハビリテーションなど他の治療法と組み合わせることで、より効果的な回復を促す役割も担います。
5.2.2 物理療法とリハビリテーション
物理療法は、温熱、電気、超音波などを利用して、患部の血行を促進したり、痛みを軽減したりする目的で行われます。これにより、筋肉の緊張を和らげ、自然治癒力を高めることが期待できます。リハビリテーションでは、専門家の指導のもと、個々の症状に合わせたストレッチや筋力トレーニングを行います。これは、痛みの原因となっている筋肉のアンバランスを整えたり、柔軟性を高めたりすることで、肘の機能を回復させ、再発を予防するために非常に重要です。
5.3 手術療法が必要なケース
ほとんどの肘の内側の痛みは保存療法で改善しますが、中には手術療法が必要となるケースもあります。これは、保存療法を一定期間続けても症状が改善しない場合や、靭帯の損傷が重度である、神経の圧迫が強くしびれなどの症状が進行している場合などに検討されます。手術は最後の選択肢として、専門家と十分に話し合い、メリットとデメリットを理解した上で判断することが大切です。
5.4 病院を受診する目安と何科に行くべきか
肘の内側の痛みが続く場合や、日常生活に支障をきたすほど強い場合は、専門の施設で早めに診察を受けることをおすすめします。特に、痛みが日に日に悪化する、安静にしていても痛む、しびれを伴う、肘が動かしにくいなどの症状がある場合は、専門家による診断が不可欠です。
肘や関節、筋肉、神経のトラブルを扱う専門の医療部門では、あなたの症状に合わせた適切なアドバイスや治療法を提案してくれます。自己判断で痛みを我慢し続けると、症状が悪化したり、回復に時間がかかったりする可能性もありますので、気になる症状があれば迷わず相談してください。
6. 肘の内側の痛みを予防する
肘の内側の痛みは、日々の活動に大きく影響します。痛みが起こる前に適切な予防策を講じることで、肘への負担を軽減し、健康な状態を保つことが可能です。ここでは、具体的な予防方法を解説します。
6.1 正しいフォームと動作の習得
スポーツや日常生活での不適切なフォームや動作は、肘の内側に過度なストレスを与え、痛みの原因となります。特に、反復動作では負担が蓄積されやすいため、自身の動作を見直すことが重要です。
例えば、野球の投球やゴルフのスイングでは、手先だけでなく肩や体幹を使った全身の連動を意識しましょう。また、重い物の持ち方やパソコン作業での手首の角度など、日常動作でも肘に無理な力がかからないよう注意が必要です。
| 活動例 | 予防のポイント |
|---|---|
| スポーツ | 全身の連動性を意識したフォームで、肘への負担を分散させます。 |
| 日常生活 | 体全体を使った持ち方や、作業環境の調整で手首や肘の負担を減らします。 |
6.2 筋力トレーニングと柔軟性の維持
肘の痛みを予防するには、肘関節を安定させる周囲の筋肉を強化し、適切な柔軟性を保つことが不可欠です。筋肉のバランスが整い、柔軟性が高ければ、肘にかかる衝撃を効果的に吸収できます。
前腕の屈筋群、肩甲骨周囲の筋肉、体幹の安定性は、肘の機能に大きく影響します。これらをバランス良く鍛えることで、肘への負担を軽減できます。また、運動前後のウォーミングアップやクールダウンを含め、全身のストレッチを継続的に行い、筋肉の柔軟性と関節の可動域を維持することも非常に重要です。
| 予防運動の例 | 効果 |
|---|---|
| 前腕の筋力強化 | 肘関節の安定性を高めます。 |
| 肩甲骨周囲の強化 | 肩関節の安定性を向上させ、肘への負担を軽減します。 |
| 全身のストレッチ | 筋肉の柔軟性を保ち、関節の可動域を維持します。 |
6.3 定期的なケアと休息の重要性
肘の痛みは、使いすぎ(オーバーユース)による疲労の蓄積が主な原因です。そのため、適切な休息と日頃からのケアが予防には欠かせません。
スポーツや肉体労働で肘を酷使した後は、十分な休息を取り、疲労を回復させましょう。無理な活動は、小さな負担を大きな痛みへと進行させます。また、運動後や作業後に肘の周囲を軽くアイシングしたり、温めて血行を促進したりするセルフケアも効果的です。
さらに、肘に少しでも違和感や軽い痛みを感じた場合は、決して軽視せず、早めに活動を控えるなどの対処をすることが大切です。早期のケアで、症状の悪化を防ぎ、本格的な痛みに発展するのを防ぐことができます。
7. まとめ
肘の内側の痛みは、スポーツによるものから日常生活での負担、さらには特定の疾患まで、非常に多岐にわたる原因で発生します。野球肘やゴルフ肘といったスポーツ障害、上腕骨内側上顆炎(ゴルフ肘)や内側側副靭帯損傷、尺骨神経障害などが代表的な原因として挙げられます。これらの痛みは、単なる筋肉疲労と軽視されがちですが、放置すると症状が慢性化したり、悪化したりする可能性があるため、早期に原因を特定し、適切な対処を行うことが非常に重要です。
痛みの種類や強さ、痛む動作などを把握し、安静やアイシング、ストレッチといったセルフケアを試みることは大切です。しかし、セルフケアで改善が見られない場合や、痛みが悪化する場合には、自己判断せずに整形外科などの専門家へ相談することをおすすめします。専門家による正確な診断のもと、薬物療法や物理療法、リハビリテーションといった適切な治療を受けることで、症状の改善と再発予防につながります。
また、日頃から正しいフォームや動作を意識し、適切な筋力トレーニングと柔軟性の維持、そして十分な休息を取ることで、肘の痛みを未然に防ぐことができます。ご自身の身体と向き合い、継続的なケアを行うことが、健康な肘を保ち、快適な日常生活を送るための鍵となります。
何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。

