「肘を曲げると痛い」と感じることはありませんか? 日常生活の中でふとした瞬間に感じるその痛みは、単なる疲れだと見過ごされがちですが、実は体からの大切なサインかもしれません。痛みがあるのに無理を続けてしまうと、症状が悪化し、日常生活に大きな支障をきたす可能性もあります。この肘の痛みは、決して放置してはいけません。

この記事では、肘を曲げると痛む場合に考えられる代表的な病気の種類から、ご自身で今すぐできる対処法、そして痛みを予防するための効果的な方法までを詳しく解説いたします。肘の痛みで不安を感じている方が、ご自身の症状を正しく理解し、適切なケアや専門家への相談へ踏み出すための一歩となるよう、具体的な情報をお届けします。読み終える頃には、あなたの肘の痛みの原因と向き合い、今日からできる具体的な行動が見えてくるでしょう。

1. 肘 曲げると痛い その症状放置しないで

肘を曲げると感じる痛みは、多くの方が経験するかもしれません。しかし、その痛みを「いつものこと」と軽視したり、我慢して放置したりすることは、決しておすすめできません

肘の痛みは、単なる一時的な不快感ではなく、あなたの体からの大切なメッセージである可能性が高いからです。このサインを無視し続けると、症状が悪化し、慢性的な痛みへと進行してしまうことも少なくありません。

痛みが慢性化すると、日常生活でのちょっとした動作にも支障をきたし、趣味や仕事、さらには睡眠の質にまで影響を及ぼすことがあります。例えば、コップを持つ、ドアノブを回す、キーボードを打つといった何気ない動作一つ一つが苦痛になり、生活の質が著しく低下してしまうことも考えられます。

早期にその原因を見つけ、適切な対処を始めることが、痛みを長引かせないための鍵となります。

1.1 肘の痛みは体のサイン

肘の痛みは、あなたの体が発するSOSのサインです。私たちの肘は、日常生活のあらゆる動作において重要な役割を担っており、知らず知らずのうちに大きな負担がかかっていることがあります。

無理な使い方、繰り返しの動作、不適切な姿勢や体の使い方が、肘の組織に微細な損傷を与え、それが痛みの原因となっているケースが非常に多く見られます。例えば、スポーツでの特定のフォーム、重いものを持ち上げる際の力の入れ方、長時間のデスクワークでの肘の位置など、心当たりのある動作があるかもしれません。

この体のサインを見逃さず、痛みの原因と真摯に向き合うことが、症状の改善と再発予防につながります。痛みの裏には、あなたの体の使い方や生活習慣を見直すきっかけが隠されているのです。

1.2 痛みの種類と症状のチェックポイント

肘の痛みといっても、その感じ方や現れる状況は人それぞれです。ご自身の痛みの特徴を具体的に把握することは、次に続く章で解説する病気や対処法について、より深く理解し、適切な対策を見つける上で非常に重要になります。

以下のチェックポイントを参考に、ご自身の症状を詳しく確認してみてください。この自己チェックは、専門家に相談する際にも役立つ情報となります。

【肘の痛みの種類と症状チェックポイント】

チェック項目具体的な症状
痛みの性質鋭い痛み、鈍い痛み、ズキズキする痛み、ジンジンする痛み、重い痛み、焼けるような痛み、しびれるような痛みなど
痛むタイミング肘を曲げた時、伸ばした時、特定の動作をした時(例: 物を持つ、ひねる)、安静にしている時、常に痛む、朝起きた時、夜間など
痛む場所肘の外側、内側、裏側、前側、肘全体、特定のポイントのみ、腕や手首に広がる痛みなど
併発する症状しびれ(指先まで)、腫れ、熱感、赤み、動かしにくさ、肘がロックする感じ、力が入らない、関節の音が鳴るなど
痛みの変化時間が経つと悪化する、特定の活動や動作で悪化する、休むと楽になる、温めると楽になる、冷やすと楽になる、天候で変化する、痛みが移動する感じなど

これらの症状を具体的に把握し、ご自身の体の声に耳を傾けることで、痛みの原因を特定しやすくなります。一つ一つの症状を丁寧に確認していくことが、改善への第一歩となるでしょう。

2. 肘 曲げると痛い時に考えられる代表的な病気

肘を曲げると痛みを感じる時、その原因は様々です。ここでは、痛む部位や症状の出方によって考えられる代表的な病気について詳しく解説します。あなたの症状と照らし合わせながら確認してみてください。

2.1 肘の外側が痛む場合 上腕骨外側上顆炎 テニス肘

肘の外側に痛みを感じる場合、上腕骨外側上顆炎が考えられます。一般的には「テニス肘」と呼ばれることが多い状態です。

この痛みは、肘の外側にある骨の突起部分(上腕骨外側上顆)に付着している筋肉や腱が、繰り返しの負担によって炎症を起こすことで発生します。特に、手首を反らせる動作や指を伸ばす動作を頻繁に行うことで発症しやすくなります。テニスをする方に限らず、パソコン作業、料理、工具を使う作業など、日常生活や仕事で手や腕を酷使する方にも多く見られます。

症状としては、物を持ち上げる時、タオルを絞る時、ドアノブを回す時などに肘の外側に鋭い痛みを感じることが特徴です。安静にしている時は痛みがなくても、特定の動作で痛みが増す傾向があります。

痛む部位主な原因特徴的な症状
肘の外側手首や指を繰り返し使う動作、腕の酷使物を持ち上げる、タオルを絞る、ドアノブを回す時の痛み

2.2 肘の内側が痛む場合 上腕骨内側上顆炎 ゴルフ肘 野球肘

肘の内側に痛みがある場合、上腕骨内側上顆炎の可能性があります。これは「ゴルフ肘」や「野球肘」とも呼ばれることがあります。

肘の内側にある骨の突起部分(上腕骨内側上顆)に付着する筋肉や腱が、繰り返し過度なストレスを受けることで炎症を起こします。特に、手首を手のひら側に曲げる動作や指を握る動作を頻繁に行うことで発症しやすくなります。ゴルフのスイングや野球の投球動作など、腕を強く振るスポーツをする方に多く見られますが、重い物を持つ作業や、手首を曲げた状態で力を入れる作業が多い方にも起こりやすいです。

症状としては、肘の内側を押すと痛む、物を握る時、腕を振る時などに痛みを感じることが特徴です。肘を曲げた状態で力を入れる際に痛みが強くなることもあります。

痛む部位主な原因特徴的な症状
肘の内側手首を曲げる・握る動作、腕を強く振る動作物を握る、腕を振る時の痛み、肘の内側を押すと痛む

2.3 肘の裏側が痛む場合 肘頭滑液包炎 変形性肘関節症

肘の裏側に痛みや違和感がある場合、いくつかの病気が考えられます。

2.3.1 肘頭滑液包炎

肘の先端にある骨の突起(肘頭)の皮膚と骨の間には、滑液包と呼ばれる袋状の組織があります。この滑液包が炎症を起こすと肘頭滑液包炎となります。

肘を地面や硬い場所に繰り返しぶつけたり、長時間の圧迫を受けたりすることで発症しやすいです。また、感染や他の病気が原因となることもあります。

症状としては、肘の裏側が腫れて熱を持つ、押すと痛むといった特徴があります。肘を曲げ伸ばしする際に、腫れが邪魔をして違和感や痛みを感じることもあります。

痛む部位主な原因特徴的な症状
肘の裏側(先端)肘への繰り返しの衝撃や圧迫肘の腫れ、熱感、押すと痛む

2.3.2 変形性肘関節症

変形性肘関節症は、肘関節の軟骨がすり減り、骨が変形することで痛みが生じる状態です。加齢による変化、過去の肘の怪我、繰り返しの重労働などが原因となることがあります。

症状としては、肘の曲げ伸ばしがしにくくなる(可動域の制限)、動かし始めに痛むといった特徴があります。進行すると、安静時にも痛みが続くことがあります。

痛む部位主な原因特徴的な症状
肘全体(特に裏側や曲げ伸ばし時)加齢、過去の怪我、繰り返しの負荷肘の曲げ伸ばしの制限、動かし始めの痛み

2.4 肘の曲げ伸ばしで痛む場合 肘関節の炎症や軟骨損傷

特定の部位だけでなく、肘を曲げたり伸ばしたりする動作全体で痛みを感じる場合、肘関節の内部で炎症が起きているか、軟骨が損傷している可能性があります。

炎症は、過度な運動や繰り返しの負担によって関節を構成する組織に負担がかかることで発生します。軟骨損傷は、外傷や使いすぎ、または加齢に伴う変性によって、関節のクッション材である軟骨が傷つくことで起こります。

症状としては、肘の可動域全体で痛みを感じる、ゴリゴリとした音や引っかかり感を伴うことがあります。特に、肘を完全に伸ばしたり曲げたりする時に強い痛みを感じることがあります。

痛む部位主な原因特徴的な症状
肘関節全体過度な運動、繰り返しの負担、外傷、軟骨の変性曲げ伸ばし全体の痛み、引っかかり感、ゴリゴリ音

2.5 肘のしびれを伴う場合 尺骨神経麻痺 肘部管症候群

肘の痛みに加えて、指のしびれを伴う場合、神経が圧迫されている可能性があります。

2.5.1 尺骨神経麻痺

尺骨神経麻痺は、肘の内側を通る尺骨神経が何らかの原因で圧迫されたり、引っ張られたりすることで生じます。尺骨神経は、小指と薬指の半分、および手のひらの一部の感覚と、一部の指の筋肉の動きを司っています。

症状としては、小指と薬指の半分にしびれや感覚の鈍さを感じることが特徴です。進行すると、指の力が入りにくくなる、細かい作業がしにくくなるといった筋力低下の症状が現れることもあります。

痛む部位主な原因特徴的な症状
肘の内側、小指・薬指尺骨神経の圧迫や牽引小指・薬指のしびれ、感覚の鈍さ、筋力低下

2.5.2 肘部管症候群

肘部管症候群は、尺骨神経麻痺の中でも、特に肘の内側にある「肘部管」と呼ばれるトンネル状の構造の中で尺骨神経が圧迫されることで起こる病気です。肘の曲げ伸ばしを繰り返すことや、肘を長時間曲げた状態にすること、外傷などが原因となります。

症状は尺骨神経麻痺と同様に、小指と薬指の半分にしびれや痛みが現れます。肘を深く曲げた時にしびれが強くなる傾向があります。

痛む部位主な原因特徴的な症状
肘の内側、小指・薬指肘部管内での尺骨神経の圧迫小指・薬指のしびれ、肘を深く曲げるとしびれが増す

3. 肘 曲げると痛い 今すぐできる対処法

肘に痛みを感じたとき、まずはご自身でできる対処法から試してみましょう。適切な初期対応は、痛みの悪化を防ぎ、回復を早めることにつながります。無理のない範囲で、ご自身の体の状態に合わせたケアを心がけてください。

3.1 まずは安静とアイシング

肘の痛みが始まったばかりの時期や、痛みを感じる動作をした直後には、まずは患部を休ませることが最も大切です。無理に動かすと、炎症が悪化したり、痛みが長引いたりする可能性があります。

痛みを感じる動作は避け、肘に負担をかけないように安静に保ちましょう。特に、重いものを持つ、腕を激しく使うなどの動作は控えることが重要です。

また、痛みとともに熱感がある場合や、腫れがみられる場合は、アイシングが有効です。冷やすことで炎症を抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。

対処法具体的な方法注意点
安静痛む動作を避け、肘を休ませる。痛みが治まるまでは、無理な動作をしないようにしてください。
アイシング氷嚢や保冷剤をタオルで包み、痛む箇所に当てて冷やします。一度に冷やす時間は15分から20分程度に留め、皮膚に直接当てないように注意してください。1日に数回繰り返すと良いでしょう。

3.2 痛みを和らげるセルフケア

痛みが少し落ち着いてきたら、無理のない範囲でセルフケアを取り入れることで、血行を促進し、筋肉の柔軟性を高めることができます。ただし、痛みが増すようならすぐに中止してください。

3.2.1 軽度のストレッチ

肘周辺の筋肉を優しく伸ばすストレッチは、血行を促進し、こわばりを和らげるのに役立ちます。例えば、手のひらを上にした状態で、もう片方の手で指先をゆっくりと手前に引くようにして前腕の筋肉を伸ばします。また、手のひらを下にして同様に指先を引くことで、前腕の別の筋肉もストレッチできます。痛みを感じない範囲で、ゆっくりと息を吐きながら行いましょう。

3.2.2 軽いマッサージ

痛む箇所の周辺の筋肉を、指の腹を使って優しくマッサージすることも効果的です。特に、肘から手首にかけての前腕の筋肉や、上腕の筋肉をゆっくりと揉みほぐしてみてください。決して強く押しすぎず、気持ち良いと感じる程度の力加減で行うことが大切です。血行が促進され、筋肉の緊張が和らぐことで、痛みの軽減につながることがあります。

3.3 湿布やサポーターの活用

市販の湿布薬やサポーターも、一時的な痛みの対処や負担軽減に役立ちます。

3.3.1 湿布の活用

市販されている湿布薬には、痛みを和らげる成分や炎症を抑える成分が含まれています。痛みの種類によって、冷湿布と温湿布を使い分けることが大切です。急な痛みや熱感がある場合は冷湿布を、慢性的な痛みや血行不良が原因と考えられる場合は温湿布を選ぶと良いでしょう。製品の説明書をよく読んで、正しく使用してください。

3.3.2 サポーターの活用

肘用のサポーターは、肘関節の安定性を高めたり、特定の筋肉への負担を軽減したりする効果が期待できます。特に、肘を曲げ伸ばしする際に痛みが生じる場合や、特定の動作を避けたい場合に有効です。サポーターを選ぶ際は、ご自身の肘のサイズに合ったものを選び、きつすぎず、血行を妨げないように装着することが重要です。適切なサポーターを使用することで、日常生活での肘への負担を軽減し、痛みの悪化を防ぐことにつながります。

4. 専門医への相談が重要な理由

肘の痛みは、日常生活に大きな影響を与えることがあります。自己判断で様子を見たり、誤った対処を続けたりすると、症状が悪化したり、回復が遅れたりする可能性も考えられます。専門医に相談することで、痛みの正確な原因を特定し、適切な治療計画を立てることが、早期回復への一番の近道となります。

単なる使いすぎによる一時的な痛みだと思っていても、実際には骨や関節、神経に問題が隠れているケースも少なくありません。専門的な知識と経験を持つ専門医は、検査を通じて詳細な状態を把握し、一人ひとりに合った対処法や治療法を提案してくれます。

4.1 病院に行くべき症状の目安

以下のような症状が見られる場合は、できるだけ早く専門医の診察を受けることをおすすめします。痛みを我慢せず、早めの受診を検討しましょう。

症状の種類具体的な目安
痛みの強さ・持続安静にしていても痛みが続く場合、または痛みが徐々に強くなっている場合。
日常生活への影響肘を曲げたり伸ばしたりする動作が困難で、食事や着替え、物を持つなどの日常動作に支障が出ている場合。
伴う症状肘や腕にしびれがある、関節が腫れている、熱を持っている、皮膚が赤くなっている、関節の変形が見られる場合。
外傷の有無転倒や衝突など、明らかな外傷が原因で痛みが始まった場合。
改善が見られないセルフケアを続けても、数週間経っても症状が改善しない、あるいは悪化している場合。

これらの症状は、より専門的な診断と治療が必要であることを示唆している可能性があります。放置せずに、適切な対応を検討することが大切です。

4.2 何科を受診すべきか

肘の痛みで病院を受診する際、基本的には運動器の専門家である整形外科を受診するのが適切です。整形外科は、骨や関節、筋肉、腱、神経といった運動器全般の疾患を専門としています。

もし、どの科を受診すべきか迷う場合は、まずはかかりつけの医療機関に相談するか、総合病院の受付で症状を伝え、適切な科を案内してもらうと良いでしょう。早期に正確な診断を受けることが、痛みの根本的な解決につながります。

5. 肘の痛みを予防する日常生活の工夫

肘の痛みは、日々の生活習慣や体の使い方に深く関係していることがあります。一度痛みが出てしまうと、回復には時間がかかる場合も多いため、痛みが現れる前に予防策を講じることが非常に大切です。ここでは、日常生活で実践できる肘の痛みを防ぐための工夫をご紹介します。

5.1 正しい体の使い方と姿勢

私たちは無意識のうちに、肘に負担をかけるような動作や姿勢をとっていることがあります。特に、同じ動作を繰り返す作業や、不自然な体勢での作業は、肘への負担を増大させ、痛みの原因となる可能性があります。

まずは、ご自身の日常生活における体の使い方や姿勢を見直すことから始めてみましょう。デスクワーク、家事、スポーツなど、肘をよく使う場面での注意点がいくつかあります。

場面予防のための工夫
パソコン作業キーボードやマウスの位置を適切に調整し、肘が直角になるような姿勢を保ちましょう。手首が不自然に曲がらないように、リストレストなどの活用もおすすめです。また、定期的に休憩を取り、軽いストレッチを挟むことで、筋肉の緊張を和らげることができます。
家事や育児重いものを持つ際は、片方の肘だけでなく両手を使う、または台車などを利用して負担を分散させましょう。掃除や料理など、特定の動作を長時間続ける場合は、途中で休憩を挟んだり、体の向きを変えたりして、肘への集中した負荷を避けることが大切です。
スポーツや趣味テニスやゴルフ、野球など、肘を使うスポーツでは、正しいフォームを身につけることが何よりも重要です。誤ったフォームは、特定の筋肉や関節に過度な負担をかけ、痛みの原因となります。必要であれば、専門家から指導を受けることを検討してみてください。

また、猫背などの悪い姿勢は、肩や首だけでなく、体全体のバランスを崩し、結果的に肘への負担を増加させることもあります。背筋を伸ばし、体幹を意識した姿勢を心がけることで、肘だけでなく全身の健康維持にも繋がります。

5.2 定期的なストレッチと筋力トレーニング

肘の痛みを予防するためには、肘関節周辺の筋肉の柔軟性を保ち、適度な筋力を維持することが非常に重要です。柔軟性のある筋肉は、急な動きや繰り返しの動作による衝撃を吸収しやすくなり、また、強い筋肉は関節を安定させ、負担を軽減する役割を果たします。

5.2.1 肘周辺のストレッチ

日々の生活に簡単なストレッチを取り入れることで、筋肉の緊張を和らげ、血行を促進し、肘への負担を軽減することができます。

対象部位ストレッチ方法の例
前腕屈筋群手のひらを上にして腕をまっすぐ前に伸ばします。もう一方の手で、伸ばした腕の指先を掴み、ゆっくりと手前(体の方)に引きます。前腕の内側が伸びているのを感じましょう。
前腕伸筋群手のひらを下にして腕をまっすぐ前に伸ばします。もう一方の手で、伸ばした腕の指先を掴み、ゆっくりと手前(体の方)に引きます。前腕の外側が伸びているのを感じましょう。
上腕三頭筋片腕を頭上に上げ、肘を曲げて手のひらを背中の上部に置きます。もう一方の手で、曲げた肘を軽く押さえ、上腕の後ろ側が伸びるのを感じます。

各ストレッチは、痛みを感じない範囲で、ゆっくりと息を吐きながら20秒から30秒かけて行いましょう。無理に伸ばしすぎないことが大切です。

5.2.2 肘周辺の筋力トレーニング

肘関節を安定させ、日常動作やスポーツでの負荷に耐えられるようにするためには、周囲の筋肉をバランス良く鍛えることが効果的です。特に、前腕の筋肉を強化することで、肘への負担を軽減できます。

対象部位トレーニング方法の例注意点
手首の屈曲・伸展軽いダンベルやペットボトルなどを持ち、手のひらを上または下にして前腕を固定します。手首をゆっくりと上下に動かし、前腕の筋肉に意識を集中して行います。肘は動かさず、手首だけで動作を行うようにしましょう。反動を使わず、ゆっくりとした動きで。
握力強化ボールやハンドグリップを握り、ゆっくりと力を入れては緩める動作を繰り返します。握る力を調整しながら行いましょう。無理な負荷をかけすぎると、かえって肘に負担がかかることがあります。軽い負荷から始め、徐々に強度を上げていきましょう。

筋力トレーニングは、無理のない範囲で、軽い負荷から始めることが大切です。回数やセット数は、ご自身の体力に合わせて調整し、徐々に増やしていくようにしましょう。また、運動前後のウォームアップとクールダウンも忘れずに行い、筋肉を温め、疲労を軽減することが重要です。

6. まとめ

肘の痛みは、日常生活の質を著しく低下させるだけでなく、放置することで症状が悪化し、治療が長引く可能性もあります。今回ご紹介したように、肘の痛みには「テニス肘」や「ゴルフ肘」といった一般的なものから、「変形性肘関節症」や「尺骨神経麻痺」など、さまざまな病気が隠れていることがあります。

痛みの種類や症状の現れ方によって、考えられる原因は異なります。まずは安静にする、アイシングを行う、正しいセルフケアを取り入れるといった対処法を試すことは大切です。しかし、痛みが改善しない場合や、しびれを伴う、肘が曲げ伸ばしできないといった特定の症状がある場合は、自己判断せずに専門医へ相談することが非常に重要です。

早期に適切な診断を受け、ご自身に合った治療を開始することが、症状の早期改善と再発防止につながります。また、日頃から正しい体の使い方を意識し、ストレッチや筋力トレーニングを取り入れることで、肘の痛みを予防することも可能です。ご自身の体のサインを見逃さず、適切な対応を心がけましょう。

何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。

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